志村 信裕さん(アーティスト)
人とつながることで
自分なりの
まちの楽しみ方を発見
山口市を訪れたきっかけは、秋吉台国際芸術村でのアーティスト・イン・レジデンス(滞在型創作活動)です。2013年から2015年までの3年間は、山口情報芸術センター[YCAM]で35mmフィルムの映写技師として働きながら、山口市を拠点に作家活動を行っていました。なかでも、萩市の離島である見島に1年間通って制作した映像作品《見島牛》(2015年)は、山口県立美術館に収蔵される、特別な思い出の詰まった代表作になりました。
山口市の第一印象は「文化的で暮らしやすそうなまち」というものでした。実際に住んでみることで、さまざまな分野でユニークな活動をされている人がたくさんいらっしゃるという新たな一面も見えてきました。滞在中は、素敵なお店や人との出会いによって、充実した時間を過ごすことができました。その中でも特におすすめしたいお店をご紹介します。
「CAPIME coffee 珈琲豆御渡所 “龜”」は、10年近く通うお気に入りのお店です。焙煎技術はもちろんのことですが、珈琲にまつわるさまざまなツールを開発・プロデュースするほど、「おいしい一杯」にかける亀谷夫妻のこだわりが凄い!彼らと出会ったことで、自宅で珈琲を飲む時間がぐっと豊かになりました。今ではポットからドリッパーまで、すべてCAPIME coffeeのものを愛用しています。オンラインショップもありますが、こだわりの詰まった空間が素晴らしいので、ぜひ店舗を訪れてほしいです。ちなみに僕の“推し豆”は「フレンチ・マンデリン」です。
湯田温泉駅の近くにあるフラワーショップ「セ・モア」も思い出深いお店です。植物で覆われた外観からすでにセンスの良さが溢れ出ています。萩市在住の陶芸家・濱中史朗さんの花器を萩の窯元で購入したことをきっかけに、一輪挿し用の花を買ったり、プレゼント用のお花をアレンジしてもらったりと、何かとお世話になりました。いつも明るく温かい接客をしてくれるスタッフの方々のおかげで、生活と植物の距離が近くなりました。
山口市中心商店街のアーケードを抜けた先にある老舗中華料理店「東天閣」も外せません。地元の方々の胃袋を長年支え続けている人気店です。日本人の好みに合わせて味付けした料理はどれも絶品で、山口市を訪れる度に足を運んでいます。店内のモニターには店主の川端さんが自ら編集した山口市内の古い写真をまとめたスライドショーが上映されています。美味しい中華を食べながら山口市の歴史にも触れることができる。そんなお店、他にないですよね(笑)。
現在は、YCAMの20周年記念事業の一つである「Afternote 山口市 映画館の歴史」展(2023年11月25日〜)の準備のために、山口市に通いながら滞在制作を行っています。みなさんも山口市を何度も訪れて、自分だけのとっておきのお店をぜひ見つけてください!
関連施設
CAPIME coffee 珈琲豆御渡所 “龜”
- 山口市大内問田3-2-41
- TEL:083-929-3342
営業時間:13:00〜18:00
定休日:営業カレンダーに基づく
※珈琲豆と珈琲道具を販売
https://www.capime-coffee.com