吉村 大星さん(現代美術作家)
さまざまなアートを受容する
懐の広いまち

- 吉村 大星(よしむら・たいせい)
- 1992年山口市生まれ。中学卒業後、父で色鉛筆画家である故吉村芳生氏のアシスタントを務めながら、自身の作品制作を始める。写真のような繊細な色鉛筆画が特徴。近年はインスタレーション作品にも挑戦するなど、山口市徳地を拠点に活躍の場を広げている。2017年に第9回やまぐち新進アーティスト大賞、2022年に第75回山口県美術展覧会大賞を受賞。
山口市はジャンルを越えた芸術家の交流が盛んであると同時に、芸術家を応援しようとする人たちが多く暮らす“アートへの情熱があふれるまち”だと感じています。山口県立美術館、山口情報芸術センター[YCAM]、クリエイティブ・スペース赤れんが、ギャラリーナカノ、カフェ&ギャラリー ラ・セーヌといった、誰でも気軽にアートに触れられる環境が整っています。また、地元のアーティストの発掘・支援を目的とする「やまぐち新進アーティスト大賞」、工芸、絵画、写真、書など、ジャンルを超えた作品の公開審査が特徴の「山口県美術展覧会」など、作品を発表する場も多く設けられています。
また、アートに関連したイベントも定期的に開催されています。そのうちの一つ、維新百年記念公園で行われる「山口アーツ&クラフツ」は、県内外のクラフト作家による西日本最大級のイベントです。自然豊かなロケーションのもと、陶芸やガラス細工、木工、皮革、アクセサリーなど、多彩な作品が展示・販売されており、作り手と直接対話しながら気に入ったものを探すことができます。
アート関連も含めて、山口市には魅力的なお店や場所がたくさん存在します。その中から特に私が気に入っているおすすめスポットを3つご紹介します。
最初にご紹介するのは、徳地にある「やまぐちサッカー交流広場」です。ここは、中山間地域の活性化を図ることを目的に、廃校を活用して造られたスポーツ施設です。レノファ山口FCの練習拠点の一つとして知られていますが、それ以外にもバレーボールやバドミントン、フットサル、地域の夏祭り会場としても利用されています。僕も数回フットサルの練習に参加したことがあります。観客席下の交流スペースには、うどんやカレー、ソフトクリーム、フライドポテトなどの軽食が楽しめるカフェ「BASE83」もあります。
次は、下小鯖にある「三本松画廊」です。画廊主催者の山根みどりさんは、山口県美術展覧会で佳作を8回、夫の秀信さんは大賞を3回受賞されています。緑に囲まれた2階建ての真っ白な外観が印象的で、中に入ると清潔感いっぱいの空間が広がります。1階の展示室は、展示作品がより映える工夫と計算がされており、山根夫妻のセンスの良さが感じられます。2階の展示室には、額縁のような中連窓があり、そこから見る景色はまるで一点の絵画のようです。ここでは県内外で活躍する作家の個展、グループ展などが頻繫に開催されています。他の作家の作品を見ることで、今の自分に何が必要なのかを知ることができるので、作家を続けていく上での良い刺激になっています。
最後は、中心市街地の大市商店街にあるチーズケーキ専門カフェ「Cafe L’ancre(カフェ ラアンカー)」です。チーズスフレや3種のチーズなど、マスターが長年研究を重ねたチーズケーキが常時数種類揃います。人気ナンバー1はバスクチーズケーキ。チーズの風味がしっかりしているのにしつこい甘さがなく、とても食べやすいです。これを食べてからチーズケーキが好きになりました。そのほかにも、ガトーショコラやアイシングクッキー、冬期に登場する干し柿チョコレートもおすすめです。
今回紹介しきれませんでしたが、私の地元である徳地には、地元特産品を扱う「南大門」、食べ応えのある焼き鳥が人気の「わたなべ商店」、卵かけご飯専門店の「徳地とりたまの里」、ビーントゥバーチョコレートで知られる「洋菓子店tete」、リーズナブルで素朴なパンが並ぶ「手作りパン&ピザの店K’sHouse」など、個性的なグルメスポットがたくさんあります。また冬期には、まち全体がイルミネーションで彩られます。山口市徳地総合支所をはじめとする各種施設や個人宅など、その数は約70カ所にも及びます。こちらにもぜひ足を運んでみてもらえたらと思います。
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